脊柱管狭窄症
脊柱管狭窄症
脊柱管は背骨にある脊髄中枢神経の通り道のことを言います。背骨が正常な形をしていればなんの問題もありませんが、背骨が歪んでいると、その場所は狭くなってしまい、神経を圧迫して腰痛や痺れを引き起こします。この状態が、脊柱管狭窄症と呼ばれるものです。
中枢神経と馬尾
中枢神経は脳とつながっていて、1度ダメになってしまうと2度と元に戻ることが出来ません。頭と首の境目から、腰と胸の境目に脊髄がありますが、腰には存在していません。その代わりの役割をしているのが、馬尾です。腰の部分には馬尾と呼ばれる末梢神経が入っていて、例え傷ついても再生することがあります。脊髄は症状が出きってから治療を始めても時すでに遅しですが、馬尾(腰部)の場合は症状が出てからでも手遅れになることは稀だと考えられています。
どんな病気?
脊柱管には馬尾と呼ばれる神経の束が通っていますが、腰部の脊柱管が狭まり、中を通っている神経が圧迫されて、腰痛や痺れが起こります。幅広い年代に起こりうる病気ですが、50~70代に多く発症する傾向が見られます。
先天性脊柱管狭窄症として、生まれつき脊柱管が狭い場合と、後天性脊柱管狭窄症と言った、すべり症などによって脊柱管が狭くなったもの、椎間板ヘルニアの合併症、腰椎の手術によって狭くなってしまったものなど、様々な原因があります。
症状
この病気の特徴として、歩いていると徐々に下肢が重くなったり痺れてきたり、痛みを感じて歩くことができなくなってしまいます。歩ける時間は1~2分から10分程度で、これは脊柱管狭窄症のレベルで変わります。歩くのが困難になっても、腰掛けて休んだり、腰を屈めて少しの間休むことによって、また歩けるようになります。こう言った、間欠跛行と呼ばれる症状が特徴です。
腰を後に反らせたり、真っ直ぐに立っている状態で腰痛がひどくなり、前かがみになると痛みが楽になります。前にかがむことで神経の圧迫が緩むためです。痛まないように歩くため、手押し車やカートを押すようになりますが、年齢のせいだと決め付けず、脊柱管狭窄症の場合がありますので、放置して悪化させないようにしなければいけません。
脊柱管狭窄症の種類
間欠跛行が脊柱狭窄症の特徴としましたが、圧迫される場所によって症状も変わってきます。タイプは3つに分類することができます。
神経根を圧迫
脊柱管の中の左右にある神経根ですが、この神経根の左右どちらかが圧迫された場合、圧迫された側の腰から足に、痛みや痺れとして症状が出ます。
馬尾を圧迫
神経の束である、馬尾が圧迫された場合、足の痺れや麻痺、脱力感といった症状のほかに、排泄障害として、便や尿が出なかったり、我慢できないということが起こります。すべり症に関連することもあり、排泄障害まで行かなくても、ムズムズ勘やチリチリ感がある場合もあります。上記の神経根を圧迫するタイプよりも症状が重いと言えます。
混合タイプ
混合タイプは、神経根が圧迫されるタイプと、馬尾が圧迫されるタイプの両方の症状が出ます。
保存療法と手技療法
保存療法
病院でX線検査、CT、MRI検査などを行い、ときには造影剤も用いた検査を行いますが、診断の結果、手術をせずに保存療法で治療する場合があります。
内服薬や塗り薬、張り薬、血管を広げる改善薬を使った薬物療法や、血行改善のためのホットパックなどの温熱療法、超音波療法、牽引などの理学療法、コルセットを使った装具療法、痛みを遮断し、血流を改善し、炎症を鎮めるための神経ブロックなどが行われます。
手術療法
保存療法で改善が見られない場合や強い神経障害がある場合、手術療法が行われます。手術は脊柱管を広げ、神経への圧迫を取り除くことを目的とされます。痛みの原因によって、開窓術、椎弓切除術など、方法が異なります。
早期発見、早期治療が望まれ、手術によって治りやすい症状ではあるのですが、中には痺れや麻痺などの症状が残ってしまう場合や、痛みの再発が稀にあります。